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【LM推進地議連連載/リレーコラム47~地方議員は今~】

第47回 議会改革は、議員改革から (2013/8/14 福井県福井市議会議員 西本恵一氏/LM推進地議連会員)

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政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第47回目は、福井県福井市議会議員の西本恵一氏による「議会改革は、議員改革から」をお届けします。

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フェニックスのまち福井

 福井市は、人口約26万8,000人(2013年7月1日現在)、面積536平方キロメートル、日本海沿岸の中央部に位置し、三大河川(九頭竜、足羽、日野)の扇状地である福井平野に発達してきました。中世には市街地の南東にある一乗谷に居を構えた朝倉氏が、5代103年間にわたり広大な地域を支配しました。その居城は日本中世史上極めて貴重な遣跡として、特別史跡、特別名勝、重要文化財と国の三重指定に指定されています。

 1945(昭和20)年7月の空襲、1948(昭和23)年6月の福井大震災と壊滅的な打撃を受け、さらに2004(平成16)年の福井豪雨など、水害、風害と幾多の災害に見舞われましたが、市民の不屈の精神によって不死鳥のようによみがえり、今日の『不死鳥のまち福井』を築き上げてきました。

 住みよさランキング(東洋経済新報社)では常に20位以内にランクインしています。

議会は何のためにある

福井県福井市議会議員 西本恵一氏

福井県福井市議会議員 西本恵一氏

 2013年の初当選と同時に議会運営を中から見るに当たり、民間の企業経営と比べてその在り方には疑問を持ちました。

 それまで日本経営品質賞のアセッサーとして、企業経営の質の向上に携わっていた私にとって、顧客満足や社員満足、コンプライアンス(法を遵守し良き市民として社会に受け入れられる行動を取っていくこと)が大切な取り組みでした。しかし、市民のためにある議会が、その市民から遠い存在になっていることに驚いたのです。

 市民第一であるならば、市民に分かりやすい議会にしなければなりませんが、議会や議員が何をしているのかほとんど分からない状況であり(福井市議会はかつて“伏魔殿”とも呼ばれていました)、コンプライアンスについても、特に政務調査費は企業では考えられないほど粗雑な管理がなされていました。

 そこで、まず議会改革として大きく3点、22項目に分けて提案したのが、議員になって3年目の2005年度でした。今日までに、その中から質問方式や委員会議事録のホームページ掲載、一般質問者の事前新聞掲載、常任委員会視察研修の在り方、政務調査費の適正な扱いなどが着手され、改正されてきています。

 また、議会基本条例については2009年に当時の議長から提案がありましたが、私はその条例案を見て魂の入らない条例を作っても意味がないと、いったんは反対をしました。しかし、その後に先進都市の事例を研究していくうちに、「何のための議会なのか。何のための議員なのか」を改めて議員が討議し、魂のこもった議会基本条例を作るならば、それは福井市議会や市民にとって大変に意味があると判断し、一転、議会基本条例制定とそのための議会改革特別委員会の設置を促しました。その結果として、2010年度に議会改革特別委員会が設置、2年以上審議され、2012年12月定例会において制定されました(施行日は2013年4月1日)。

 さらに、2005年以来求めてきた委員会のインターネット中継が、2013年度導入されることが決まりました。昼間に勤務されている方など、傍聴する機会が極めて限られている委員会について、録画された委員会審議をインターネットで視聴できるようにするのは、市民を議会に近づける大切な方途です。しかし、それ以上に効果があると思っているのが、可視化による委員会の活性化です。委員会によっては、重要な案件であっても低調な議論で進むことも少なくなく、市民の目を入れることで、そういった空気を払しょくできるのではないかと期待しているのです(なお、本会議はケーブルテレビで生中継、録画中継があります)。

 また、一般質問と内容がほとんど変わらない予算特別委員会の在り方、次年度予算にほとんど反映しない決算委員会の在り方など、これも改革しなければならないとかねてから願っており現在、ようやく予算と決算を1つの常任委員会として機能させる改革案が検討されることになっています。

議員として取り組んでいることは

 さて、以下の5点は日々の活動として、議員として、私が目指している取り組みです。

 

 (1)学習:読書やセミナー等で自己研さんに励む。自分を触発する場に参加して常に自分を向上させること。

 (2)現場:現場に赴き、市民の声を聴く機会を絶え間なく作ること。調査なくして発言なし。

 (3)発信:情報を発信していくこと。SNS、ホームページ、議員レポート、市政報告会など
       市政や議会情報を提供していくこと。

 (4)実現:研さんしたことや市民からの課題、要望等について行政に反映とさせていくこと。

 (5)チェック:行政を監視すること。

 

西本恵一氏のホームページ

西本恵一氏のホームページ

 初当選以来、この10年間で4,135件の市民相談を承りました。その中には、市民全体の普遍的な課題も多々含まれており、私の一般質問の多くは市民からの要望が基になっています。

 市民の代表が議員です。議員の資質が議会の質を決めます。政治が街を作り、政治が人を支援し、政治が生活を変えていきます。だから、資質の高い議員で議会が構成されることが望まれます。そのためには市民に議員の活動や発言をしっかり監視していただき、市民の代表として適切な人を選んでいただくことです。一方で、その代表たる自分であるためには、目標をしっかりと持ち、自身を省みながら絶えず成長し続けなければなりません。最大の議会改革は議員改革です。

著者プロフィール
西本 恵一(にしもと けいいち):1961年3月14日生。福井県福井市出身。富山大学卒。20年間IT企業に勤め平成15年福井市議会議員初当選。現在3期目で公明党県幹事長、福井県ボウリング連盟会長。経済企業委員長、建設委員長、監査委員、副議長を歴任。
HP:福井市議会議員の「西本恵一」ホームページ
Facebook:福井市議会議員の「西本 恵一」facebook
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