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塩竈市の課題(2011/09/02)

宮城県の水産業と水産加工業を支える宮城県中央に位置する港町・塩竈市。一日も早い震災復興と水産加工業の復興が求められる塩竈市で、9月11日に市長選挙が実施されます(告示日は9月4日)。その市長選に向けた公開討論会が8月28日、社団法人塩釜青年会議所の主催で実施されました。

討論会に参加したパネリストは市長選に立候補を予定している4人で、新人で宮城民医連事務局長の天下(あました)みゆき氏(55)、新人で市議の伊藤博章氏(48)、新人で市議の今野恭一氏(63)、現職の佐藤昭氏(69)です。

産業、雇用を中心とした震災復興プランとその財源、
さらに今後の防災計画などの3テーマと、自身の重点政策を各パネリストが語り尽くしました。

水産業の港町・塩竈の復興に向けての立候補予定者の想いと、市民の課題をご覧ください。

公開討論会の概要

パネリスト
(五十音順、敬称略)
天下みゆき(55)共産新人県民主医療機関連合会事務局長
伊藤博章(48)無所属新人市議会議員
今野恭一(63)自民新人元市議会副議長
佐藤昭(69)無所属現職市長
コーディネーター 河村和徳准教授東北大大学院情報科学研究科(政治学)
開催日時 2011年8月28日(日)18:00~20:00
開催場所 エスプ塩竈(宮城県塩竈市東玉川町)
主催 社団法人 塩釜青年会議所
後援:公益社団法人日本青年会議所、リンカーン・フォーラム
プログラム
  1. 自己紹介および政治理念の発表
  2. 各テーマの一問一答(意見・補足・反論)
    塩竈市の震災復興について
    地域経済の活性化について
    地震・消防・救急等を含めた総合的な防災対策について
    今後の地方自治について
    重点政策
  3. 総括
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パネリスト(立候補予定者)の経歴

  • 天下みゆき 1956年生まれ55歳
    共産推薦 新人
    【略歴】山形県酒田市出身。1979年東北大学教育学部卒、県民主医療機関連合会に就職、2006年より県民主医療機関連合会事務局長。

  • 伊藤博章 1963年生まれ48歳
    無所属 新人
    【略歴】利府町出身。塩釜高校卒、亜細亜大学法学部中退、会社員などを経て1995年市議に当選し現在4期目。

  • 今野恭一 1947年生まれ63歳
    無所属 新人
    【略歴】南郷町(現美里町)出身。1966年南郷農業高等学校卒、ジャノメミシン工業株式会社塩釜支店販売員などを経て、今野設備工業株式会社代表取締役。1995年市議に当選し現在4期目。2007~2010年に副議長を務める。

  • 佐藤昭 1942年生まれ69歳
    無所属 現職
    【略歴】1966年日本大学理工学部卒、宮城県庁勤務。土木部港湾空港局長などを務め、2002年に退職。2003年塩竈市長に当選し現在2期目。

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討論会の動画

オープニング
挨拶
パネリスト入場
コーディネーター説明
パネリスト自己紹介

テーマ1
塩竈市の震災復興について(1)

テーマ1
塩竈市の震災復興について(2)

テーマ2
地域経済の活性化について(1)

テーマ2
地域経済の活性化について(2)

テーマ3
地震・消防・救急等を含めた総合的な防災対策について(1)

テーマ3
地震・消防・救急等を含めた総合的な防災対策について(2)

テーマ4
今後の地方自治について(1)

テーマ4
今後の地方自治について(2)

総括または重要課題

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有識者コメント

政治学者や被災地のボランティア団体等の選挙・地域の課題に精通した有識者のコメントを掲載いたします。

1.震災について

被災地の公開討論会である特徴として、各候補者が具体的な地名と具体的な対策を紐づけて意見を述べている。これだけ具体論が交わされる討論会は非常に珍しいため、地元の市民にとっては聞き応えがあったのではないか。特に各人の震災復興・経済活性化に関する着眼点から、候補者が暮らす生活環境や政治的背景を伺い知ることができる。市政の方向性を判断する上で、震災からの復興以前からの各人の問題意識にも着目したい。
(早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員 渡瀬裕哉)

実際に震災後の対応に当たってきた現職の候補者が、慎重な物言いになるのはやむを得ない点だろうか。市全体の一般論ではなく、地区別に特色のある復興政策を提言した候補者が多かったのは興味深い点で、住民にとっては具体性があると受け止められたのではないか。
(情報セキュリティ大学院大学情報セキュリティ研究科教授 湯淺墾道)

候補者の多くが中小企業支援を訴える。正論だが具体策が欲しい。伊藤氏の「塩釜は災害に強い港」というメッセージは訴求力がある。漁港としての塩釜の未来が見える。現職の佐藤氏は市民課と防災課を統合し総合的な防災体制を作ったが、正しい考え方。伊藤氏の「自前の工事部隊があったから塩釜の水道は復旧が早かった」という話からは、地方行政は効率化だけでは語れないことが分かる。
(東北ライジング代表理事 株式会社ソーシャルプランニング代表取締 竹井善昭)

2.今後の地方自治について

各候補者が、現職市長の行政運営のあり方、地方分権のあるべき姿、合併に関する問題提起など、幅広い話題について触れている。2名が各々の立場から批判を展開、1名が独自の地方分権論について主張する展開、現職が当たり障りのない答弁を述べている。非現職の候補者側が地方自治という課題を通じて現職の市政に対する対立構造を作ろうとするのに対し、現職側はうまく切り抜けようとする構図。
(早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員 渡瀬裕哉)

行政と住民との協働が強調され市民参加の機会が増えてくる中で、今後の地方自治の論点となるのは議会・議員のあり方と二元代表制の下での行政と議会との関係だが、この点では三者ともに具体性に乏しいという印象を受けた。「協働」というのはやさしいが、具体的に住民には何を負担増してもらい、自治体の仕事は何に絞るのかを語るべきだ。市民と一緒に考えるというのは、結局その点を曖昧にしていることになる。
(情報セキュリティ大学院大学情報セキュリティ研究科教授 湯淺墾道)

伊藤氏の「道州制にして課税権を地方に」という主張は地方分権の本質論。まったく正しい。今野氏の仙台市との合併論はダイナミック。地方行政の最大の課題は地方活性化だが、そのためには「ローカル」という考え方を捨てる必要がある。そのような視点での政策がどの候補者からも聞こえてこないのが残念。
(東北ライジング代表理事 株式会社ソーシャルプランニング代表取締 竹井善昭)

3.重要課題について

給食費無料化および水道・下水道料金の見直し、国民健康保険税引き下げなどの具体策で攻める候補者、10年後・20年後のまちづくりのビジョンの大切さを訴える候補者など、各々の特徴が主張されている。各候補者が主張するような行政サービスは誰がどのように負担するのかという前提があって初めて成り立つ。現職、ベテラン市議、若手市議、共産党推薦など、各人のバックグラウンドによる主張の違いが分かりやすい。日本の地方自治の縮図が凝縮されている。 (早稲田大学公共政策研究所地域主権研究センター招聘研究員 渡瀬裕哉)

今回の震災では戸籍データがサーバごと流されて一部滅失するなど自治体の情報化政策と市民への情報伝達が問題になったが、この点に言及してほしかった。水道料金、国民健康保険や長期総合計画など具体的な政策とその実現手法も述べられているが、財源に言及した候補者が少ない。民主党のマニフェストと同じで、政策実現に必要な財源をどうやって確保するか、本当に実現できるのかにも住民の関心は向けられていると思う。 (情報セキュリティ大学院大学情報セキュリティ研究科教授 湯淺墾道)

人が住みたいと思う魅力的な町作りと産業振興を全員が重点課題としている。それは正しいのだが、具体的で有効性のある施策に欠ける。この二大課題は、全国の地方都市共通の重要課題だが解決できた例はほとんどなく、それだけ難問だといえるが、産業振興無くして町作りは無いので、まずは産業振興のための明確なコンセプトを打ち出してほしい。 (東北ライジング代表理事 株式会社ソーシャルプランニング代表取締 竹井善昭)

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